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今回このHPを見ていただいてる方々に辛いお知らせがあります。
私あみ〜ごと昨年の最終戦から一緒に活動し、叱咤激励で私をサポートして下さっていたメカニックのNさんがバイク事故のため急去されました。
本当に本当に悔しくて言葉が出ません。
今回のレースのたった1週間前の出来事です。
私は彼に全幅の信頼をおき、細やかなアドバイスで着実に力をつける事が出来ました。
そしてレース活動以外でも彼の人間性に憧れていました。
私は今年だけでなく、彼が許すならこれからもずっと彼の指導を仰ぎたいと望んでいました。
なのにたった1年程で逝ってしまわれました。私は暗闇の中に放り出されたように孤独でしばらくは泣き暮らす日々でした。
しかし時間は待ってくれず、受理されたレースの日は刻一刻とせまってきていました。選択肢は2つ。
レースに出る。
サーキットに行かない。いろんな意見が飛び交う中、混乱した脳で行き着いた答えは
『やらんよりやって後悔がするほうがいい』というNさんの言葉。
幸い、家にはマシンを載せていけるトランポもあり、弟の手助けによってタイヤを交換もしてもらい、準備だけは着々と進んでいました。
レースをしない友人には『独りでなんて行ったらあかんよ、今回は。無理したって誰も喜ばないよ』と言われた。そりゃそうだよな、Nさんがいて初めて成り立っていたレースだし、レースはホビーだし、人がそのバイクで亡くなってるんだもん、わざわざ危ない目に合いに行くようなまねをさせたくないと思ってくれたんだな。Nさんの死は本当に本当に身体がバラバラになってしまいそうな辛さだった。
だから本当なら家で大人しく泣いてりゃあいいのかもしれない。
でも今回行かなければ、この先私はレースを辞めてしまうと思った。Nさんならどうアドバイスしてくれたかな? そんなことを考えながら深夜2:00、車はすでに阪神高速を西に走っていた。
2時間半後、まだ真っ暗なTIサーキットに着いた。
ゲートが開くまで車を停めて仮眠をした。
真の闇の中、複雑な想いで寝たのかどうかすら分からないまま朝が来た。ゲートをくぐり、向かった先はNさんが用意してくれていたA君のピットではなく、N250で活躍中のK-AKIOさんのピットだった。
少しでも平常心で終えれるようにNさんの面影のないところで過ごそうと思ったから。
K-AKIOさん本人とは今日で2度お会いしただけの方だが、メールで色々アドバイスをいただいていた。
今回の件で一番に『リタイヤするのは簡単だけどせっかくそこまで援助していただいてたなら頑張りませんか?いくらでも僕らが応援しますよ』と声をかけてくださった。
たぶんこのメールがなければ私は家で泣いていただけだったもかもしれない 。
私はわがまま承知でピットにお世話になりにいった。恥ずかしい話だが、私は整備ができない。
ドコからドコまでが整備なのかもわからない。
みんなNさんが『俺の仕事』といって私はそれに甘んじていたから。
ガソリンの混合比は知っていたのでK-AKIOさんに習って作る。
カウルも練習用に付け替える。
タイヤの空気圧を計る。エアゲージがNさんのではないため一抹の不安があったがそんなこといってられない。
ラジエタ−に水を入れる。あ、入ってた。このままで行こう。1枠目の練習走行は新品タイヤの慣らしと前回レースしたままのファイナルでもいいか様子見の為に走った。
やっぱりショートだな。
裏のストレートは早々に6速でふけきってる。
2枠目に私が持ってるスプロケットでロングにするも2Tも小さくしたのでえらく変わってしまった。それしかないのだ。
まあいいや。
Nさんはいつも言ってた。 『お前のレベルやったらそんなん気にせんで走るんや。バイクでどうにかしようなんて思うなよ』そういいつつマシンはいつも完璧だった。
スプロケット交換はK-AKIOさんのチームのさるさんに換えていただいた。
ついでにとチェーンを綺麗にして、オイルまで差していただいた。
その後このさるさんには車検でも作業でお手を煩わす事となったが、彼はいたって爽やかにスピーディーにこなして下さった。
お礼もそこそこに2枠目が始まる。いきなりロングになって1コーナーも左左のコーナーもわやくちゃになっていた。
しかし、ただ裏のストレートに合わせた感のあるこのファイナルでなんとか慣れるしかなかったので、深く考えずにマシンに身体を合わせて走った。
なぜかすぐ慣れてタイムも嘘みたいによかった。
これはこれで悲しかった。なんでNさんおるときにこんだけ頑張れなかったんかなあ私。
バタバタと本日の練習と車検も終え、私はお世話になったK-AKIOさん達のピットを去る事にした。
NさんがとってくれてたピットのA君達が心配して、何回も見に来てくれて再三誘われたから。
私の落胆と不安を知っていた彼等は図らずもピットエリアの端から端を何回も往復するはめになり、私もそれは気の毒だし『まだちゃんと空けて待ってますから』と言う言葉で決心した。
A君達は私と同様Nさんに色々習っていた人達で同じように辛かったはずなのに、私のことなんて気づかって心配してくれていた。
結局、整備の都合上3つ隣のCLUB Ys'さんのピットにマシンを入れた。 そこはS80 125を主体としたレーシングショップで、Nさんとよくお世話になった。
Ys'の方達やW夫妻と共に晩ご飯をとって、お風呂に入り、ピットで作業に戻ったA君達と話をして、マシンをワックスがけして、ガソリンを作って、独り車に戻って明日に備える事にした。5時に目が覚めた。寒かった。
タオルケットにくるまって、朝焼けで薄明るくなってきた空をみながら今日も暑くなる事を予感した。私のクラスは毎度朝一のスケジュール。今回はミニ耐久がある為、前倒しがあり特に早めの7:30の予選。
A君が買ってきてくれた朝食を手早く流し込み気持ちを切り替える。せっかくここまで来たんだから後悔のない様にしたい。
今回日曜朝からサーキットに入って手伝ってくれるあきちゃんと『あみのかっこええとこ撮ったるで!!』とバイクで来てくれるTさんの為にもなんとしてでもいい結果で終えたい。
ウェイティングエリアから最後まで、バイクのヘルパー初体験のあきちゃんが大活躍で私はかなり支えられた。
Nさんのアドバイスもくり返し思い出し、コースイン。結果は平凡な7番手。 でもここにくるまでに思ってた『ぼろぼろな展開』とは違っていた。
ファイナルはお世辞にもばっちりでもない。
やらなきゃいけない事が5倍くらい増えたようで、それでいて何も出来ていないような焦燥感。
でも今日はなぜかバイクが良く走る。
偉いな〜MH。
自分のすべき事がわかってるみたい。いよいよ決勝。 私はNさんのために走るんじゃないと確信した。
もやもやが吹っ切れた!やりたいだけやろう。これで最後のレースかもしれないんだから。グリッドに並ぶ。
6列目。またイン側。『もうそろそろ慣れてもいい頃やろ?スタート』Nさんが言ってる。
ことごとく失敗続きでNさんをずっこけさせていた「へっぽっこスタート」から今日こそ卒業したい。
一周回ってみんながアクセルをあおり、私もシグナルを睨み付ける。
赤点滅のあと…ブルー!!
飛び出した私は一瞬で何台ものマシンをかわした。『あれ〜!?フライング違うよね?』
スタートは大成功!!
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間髪入れずスタートで抜いたマシンが1コーナーのインやアウトから迫ってくる。
いつもならここで気持ちが負けていたのかもしれない。でも今回はホント違っていた。
たった一周でこけてしまってもいい!やりたいだけしたいんや!
徐々にマシンがばらけていき、戦うべきライバルが絞られていく。
何台抜いたのかもわからなくなっていた。
2、3周でMH80が3台、3位争いになってきた。S80を一台混ぜながらも抜きつ抜かれつの熾烈なバトルが続いた。私はその中で走っていた。
あるマシンにはメインストレートでコースから押し出されそうになった。彼も必死だ。
私は芝生を150キロ以上で走る技術はないのでやむを得ず下がった。Nさんが『あほ!びびんな!』っておこりそうだけど…。
でもそのあとも直線こそ遅い私のマシンはコーナーでは見事なふんばりで旋回してくれた。
コーナーで抜いて、ストレートで前をいかれるパターンが何周か続いた。『やばいな、ゴールラインまでもたないや。』少し焦る。
せっかくコーナーで抜いてもチェッカーを受ける前に、先にいかれたら順位は一個下がってしまう。如何せん、整備の行き届いたマシンではないからかな?
でも最後まで諦めない。
3台でもみくちゃの中、最後尾かまん中か…。
順位は知らされてなかったので、何位争いなのかもわからない。もういい…。走るだけで考えはそこでとまった。『走ってる時あれこれ考えるな』
何周もそんなやり取りをしてるうち、最終コーナーを立ち上がると、遠くでチェッカーフラグが振られている。 私の真後ろのマシンはどれくらい追従してきてるんだろう?スリップが使えないようにマシンを左右に振るようにしたがやれているか分からない。ここで距離をかせいでしまうより真直ぐ走ろう!それでいい!!しっかりと小さなこの身体をより一層丸めてふせる。
お願い!!このままゴールさせて!!
目をつぶってチェッカーを受けて、身体を起こして大きな風を受けた。やっと終わった…。
私の前には3台の競り合いから抜け出た1台のマシン以外いなかった。 なぜか最終ラップだけはストレートで抜かれる事なくゴールラインをくぐれ、順位を守る事が出来た。 ほっとした…。
今日で最後かも知れないし、そうではないかもしれない。 でも今日Nさんと一緒にやってきた事が完結したように思えた。チェッカー後オフィシャルが走り終えたライダーに手を振るのに私も応えて振る。
Nさんに『私これがやりたかったのよお〜』と言って笑われたことを思い出す。『入賞した時だけするわ、うん。でも半分のライダーは入賞するレースだからほんとなら毎回しなきゃね』『当たり前や。あほやなあーお前』『そっかなあ、そやね〜っ。はははは』
いつのまにか泣いていた。
手も振れなくなってハンドルを握って、ピットロードに戻るのがせいいいっぱいだった。
オフィシャルに誘導されるまで入賞してるのかさえわからなかった。 マシンを並べて表彰式に向かう前にとうとうわんわん泣いてしまった。結果は4位。私のレース人生で最上位。
一緒にやって来て、私がこんないい成績で帰ってきたらどんな言葉で、どんな顔して喜んでもらえただろうなって考えてたら、とまらなくなってしまった…。
他のライダーさん達は『入賞して嬉し泣き?』『3位逃したから?』って思ったのかも知れない。
階段を上がり、アナウンサーに名前を呼ばれ、拍手で表彰台に向かう。
4位のお立ち台の上から下を見る。
Nさんの姿はもちろんない。
あきちゃんがはしっこで遠慮がちに手を振ってくれていた。 今日は彼女にちっとも気をかけてやれなかった。でも自分のことのように喜んでくれた。皆さん本当にありがとう。
K-AKIOさん、さるさん、CLUB Ys'の皆さん、W夫妻、A君、Tさん、ダーマスさん、やっちゃん、こうくん、そして、あきちゃん。 たくさんの救いの手によって心も支えてもらい、今回納得いくレースができました。 本当にありがとうございました!!
次回TIロードレース選手権は11月11日です。